大数の法則・公平の原則・収支相当の原則
保険て何?ちょっとむずかしい話 基本
保険は国や地方自治体などの政府が運営する公営保険と民間会社が運営する私営保険があります。
弊社がここでお話しするのは私営保険です。
保険とは予期せぬ事故により、具体的に言いますと台風災害や地震災害または自動車事故などによって生じてしまう財産上の損害に対して前もって備えて、多くの方が保険料を出し合い、つまり保険契約をすることで、その損害に対して出し合った保険料の中から損害を補填する制度です。
つまり相互扶助が原則です。
保険料は以下の3つの基本原則を根拠とし成り立っております。
大数の法則
大数の法則とは、観測回数に対するその事象の実現回数の割合は、観測回数を多くすると計算上の確率に近づくという法則です。
サイコロがあります。サイコロには1から6までの数字が刻まれています。
サイコロを振った時、例えば1の数字が出る確率は1/6ということになります。
そして、これを5回転がした時ですと、その時5回とも1が出るということは十分あり得ます。
しかしどうでしょう。
10回20回サイコロを振った時に1が出る確率というのはだんだん低くなってきます。
そして2や3やその他の数字が出てくるようになります。

回数が増え1000回、2000回となっていくに従い、1から6までのそれぞれの数字がほぼ均等に出現するということになります。
つまり一つひとつの数字の出る確率1/6の確立と近づいていくということです。これを大数の法則と呼んでおきます。
試行回数が増えれば増えるほど事象が平準化していくことです。
ロト7から大数の法則を学ぶ
また、わかりやすいお話で身近なところでは最近ブームになっているロト7があります。
「ロト7」は2013年4月1日にスタートした新しい数字選択式宝くじです。購入者は1から37までの数字から異なる7個の数字を選んで記入します。当せん金はキャリーオーバーが発生した場合、ナント最高10億円です。
つまり皆様が1から37までの数字のうち7個を選び、全て当たっていれば一等の賞金がもらえるという仕組みです。
これが大変難しいです。計算した人によると1等の当選確率は1/10,295,472だそうです。
現在ロト7の 抽選回数は370回程度でございます。
そして1から37までのそれぞれの数字の出現回数は、数字によって大きく異なってきております 。
例えば15の数字は84回出現 しておりますが、 逆に25の数字は 55回の出現になっております。
この差はなんなんでしょうか。
これは上記の説明の通り観測回数がまだ少ないということですね。

つまり、これから1000回、2000回、3000回とロト7の 抽選回数が増えていけば、1から37までの数字の出現回数はほぼ同じに近づくということになっていきます。
保険と大数の法則 まとめ
これを保険にあてはめると、ある保険事業において結ばれた保険契約のうち、ある期間に保険事故が発生する件数の割合は、保険契約の件数が充分に多ければ、保険事故の発生する計算上の確率に近づくということにります。

さらに細かいお話は以下の引用リンクをご覧ください。少々頭が痛くなっても知りませんよ。
公平の原則
保険会社はお客様から頂戴する保険料と、万一の際支払う保険金の収支バランスを図りながら保険の運営にあたります。
それではこの入口の方、皆様から頂戴する保険料はどのような原則に沿って集めているのでしょうか。
生命保険から学ぶ
例えば死亡保障の商品があります。
この商品を契約をする方に健康状態の差があってはいけません。
何故かといいますと、保険は一定の健康状態の方(例えば、血圧はいくらまで。過去の病歴はない、仮にあってもこの病気程度までならばOKというように)に対して、同じ保険料率を適用することで、それに対する万一の支払いリスクに対応できるように保険設計しているからです。
つまり、上記でいえば健康状態が良い方のみを1グループとして契約者にすることで、健康状態が良好な方の保険料率を皆様に提供できるわけです。
この中に健康状態が悪い方を含めてしまいますと、健康状態が良い方の保険料率が維持できなくなってしまいます。
なぜならお亡くなりになる危険リスクが高まったからです。
そこで、健康状態の悪い方が死亡保険に契約したい場合は、上記の健康状態が良い方のグループと別のグループを作って新たな保険商品を開発する必要があります。または保険料割り増しを頂戴して健康状態が良い方との公平を保つことによって、健康状態が良い方のグループで契約することができます。
生命保険会社からは、そのような過去、現在に病気を持っている方でも入れる保険が販売されております。
自動車保険から学ぶ
また自動車保険でお話すれば、事故のない方と事故を起こした方の保険料区分が変わってきます。
事故を起こした方の方が、一定期間事故のない方より高い料率区分(*事故有係数適用期間)を適用されます。
公平の原則まとめ
このような公平の原則を前提にして収支相等の原則が成立します。それぞれが異なるリスクの大きさによって、保険料を変える必要があります。(リスクが高い人には高い保険料、逆にリスクが低い人には低い保険料)
リスクのバランスを図ることで、皆が平等になるようリスクのすみ分けをすることが「公平の原則」です。
収支相等の原則
保険会社が皆様からの保険料収入と保険金支出がイコールなるように保険料を設定するという原則です。
収支相等の原則を計算して学ぶ
1)まず1年間の死亡保険金額総額を計算します。
死亡率が(1000分の3)ですので、死亡された方は3人です。
1000人×(1000分の3)×1000万円=3000万円
2)死亡保険金額総額を加入者で割れば保険料が出ます。
3000万円÷1000人=3万円
3)収支相当の原則とは次が答えです。
(一人の保険料×加入者人数=支払保険料総額)=死亡保険金額総額
公平の原則でお話ししましたように、保険会社が同じリスクを持つ保険契約者のグループから集めた保険料の総額は、保険会社がそのグループの中で支払う保険金の総額とは等しくなくてはならない。
これを収支相等の原則といいます。
保険会社が消費者から安心して保険制度を運営されるために要請される基本となっていることです。
保険運営の大原則です。
保険料を分解してみる
保険料は純保険料と付加保険料で成り立っております。
「保険料」=「純保険料」+「付加保険料」
純保険料は皆様が受け取る保険金の原資となる部分です。
付加保険料は社員の人件費や家賃などの経費、つまり保険会社を運営・維持するためにかかる費用を純保険料に上乗せした部分です。
収支相等の原則と保険会社
つまり収支相等の原則というのは上記、純保険料の部分の法則です。
これにより基本的には、純保険料部分は保険会社毎の大きな差が発生することはないのです。
保険料の差が発生するのは付加保険料の差ということになります。